毎年毎年中学受験を見てきてる者だから言うことなのかもしれませんが、塾の成績が良いからといって受かるってもんじゃないんですよ。入試一般論の定着度合いだけで合否が決まるわけではないのです。

例えば、試験で実力を十分発揮できる能力というのは、合否を左右する大きなポイントです。

入試本番の日、試験会場は普段とはまるで違った緊迫した雰囲気です。子供のことですから、その空気に呑まれてしまい、パフォーマンスが発揮できないということはよくあることなのです。またよく聞くことですが、家ではできるのに、本番ではできないというのは、こういう精神的な強さが関係するかもしれません(もっとも、精神面だけが原因ではない場合も多数あります)。

では、こういう本番時の精神的な弱さを克服するには、どういう方法が効果的なのでしょうか?

まず手近な方法を申し上げますと、普段塾で受けている定期テストや模擬試験などの取り組み方を変えるのです。

すなわち、本番の試験のつもりで受験するようにするのです。

そういう試験を練習感覚で受けるから、いけないのです。模擬試験を受ける時、どこか「今回うまくいかなくても次がある」という甘い感覚を持っていないでしょうか?それではダメなのです。「この試験に失敗したら、落ちる」という強いプレッシャーをあえてつくって受けるのです。このようにすると、本番と練習の感覚の差がなくなってきます。これがパフォーマンスの発揮力につながるのです。

また、このような方法を採ると、もうひとつ良い点があります。それは復習が効果的になるのです。練習感覚で受けると、どうしても気持ちに緩みが出てしまい全力を出さないで生まれる答案になってしまいます。「本当はこうした方が望ましいけど、まあいいや」という甘さが随所に出る答案になりやすいのです。これでは返却答案から反省点を探す際に、以前判明していた初歩的な反省点を繰り返すことになります。すなわち、進歩が乏しくなり新しいステージになかなかいかないのです。